アイロン不要論──「ピシッと」よりも、「やさしく」


karuizawa wash deli


正直に言うと、シーツ類へのアイロンをなるべくやめようと言い出した時「とうとう手抜きを始めた」と思われたかもしれません笑
でも、私がお伝えしたいのは手を抜くではなく、余白を残すという考え方です。
 
ピシッとした白いシーツの正体
ホテルのシーツはピシッとしていて当たり前。
そう思っている方は多いと思います。
でも、あの白さや張りを出すために、どれだけの熱と電力と時間が使われているか。
そして、どれだけの人の手が、毎日そのシーツを処理するために働いているか。
一度現場に立てば、その重みがわかります。
夏のクリーニング工場は様々な機械から発する熱で工場はサウナのようです。
しかも冷房もかけていますので、熱い蒸気や機械と冷風を混ぜる感じになるので電気代がかかることはわかると思いますが、環境負荷も大きなものです。
それでもスタッフは汗を拭きながら、ひとつひとつアイロン処理をしていきます。
それがあたりまえだと信じて。
 
環境にとっても、労働者にとっても劣悪な環境を目の当たりにし私は思いました。
「これは、本当に必要なんだろうか?」と。
 
 
見た目の清潔と肌ざわり
弊社ではクリーニング屋としてはかなり珍しく、ホテル清掃も行っております。
ホテルを掃除していて感じるのは、本質的に人が求めている清潔は視覚的な白さではなく、触れたときの気持ちよさなんじゃないかということ。
見た目が完璧でも、寝返りを打つたびにガサガサと音がするようなシーツでは、安らぎはないと感じます。
私自身、いわゆるビジネスホテルらしいノリが良く効いたシーツで掛け布団をめくる時のベリベリっという感触のところで横になるのは不快感があります。
むしろ、アイロンを掛けていない洗い立ての自然な風合いに、心地よさを感じます。
 
クリーニングもホテル清掃も行う弊社だからこそ感じたり触れたりできる中で行き着く思いとしては
アイロンがかかっているときれいに見える(もちろん熱処理しますので衛生的です)
ベッドメイキングをした時にきれいに見えやすいのはアイロンがかかっているシーツ、です。
 
ただ、昨今軽井沢ではいわゆる一棟貸し別荘が多くなりました。
荒々しく丸太を積まれたようなログハウス、
北欧家具に囲まれたおしゃれで柔らかな空間の建物
高級ホテル顔負けのラグジュアリーヴィラなどなど
 
どの宿泊施設もこだわりの内装や家具、食器やカトラリー、そしてふわふわのタオル。
どこも各オーナーの強い世界観も感じます。
ただ、そんな中、私が思うこと。
「なんでシーツは突然ビジネスホテル??」です。
こだわって、追求して打ち出した世界観の中、部屋の大きな面積を占めるベッドがこれでは疑問が湧きます。
 
ただ、その裏側には「リネンサプライ業者は決まったリネンしか提供できない」という事情がそうさせているのです。
私はもっとお客様に選択肢を持っていただきたいと考えてこの仕事をしています。
なので、基本的に「できない」は無し。徹底的にお客様と打ち合わせを行います。
 

脱アイロン処理で得られるモノゴト karuizawa wash deli

  • アイロンしない設計をつくる
    そこで私たちは、アイロン前提のリネン運用を一度ゼロベースで思考し直しました。
    素材、洗浄方法、乾燥方法、畳み方、保管方法など、アイロンしなくても自然に整うという前提で、すべてを設計し直しました。
     
    洗濯機から上がった瞬間にシワが寄らないよう、脱水や乾燥方法を工夫したり、たたみかたもシワの残りにくい方法で行っています。
    もちろんアイロンを掛けたような仕上がりにはなりませんが、
    実際に高価格帯のホテルでも採用していただいていることもあり、ノーアイロン処理はご好評いただいております。
     
    省エネ・時短・でも一番はやさしさ
    もちろん、数字で言えば効果はあります。
    アイロンから熱を発さなくなることや、室温上昇によるエアコン稼働が弱くなることを考えるとCO₂排出は減り、電気代も下がります。
    そして、アイロン処理は素材に対してダメージを与えているのでリネンの寿命も延びますので経済的です。でも、私としては正直その点はおまけです。
     
    本当に変わったのは、現場の空気
    スタッフの苦痛な顔が減ったこと。体調不良も減ったこと。
    作業場が快適になることで、言葉のトーンまで穏やかになるんです。
    「仕事が快適になった」という言葉よりも、不満の声が上がらないことも大切です。
     
    それでも、ピシッとしたシーツが好きな人はいる
    もちろん、デメリットもあります。
    光の角度でシワが見えたり、素材によって乾きムラが出たり。中には、「ホテルはやっぱりピシッとしてないとね」と言う方もいます。
    私はアイロンを否定しているのではなく、お客様の声こそが正しいと思っています。
    完璧な見た目を好む人がいるのも文化です。


    ただ、私たちは自然な整いを選ぶことが多いだけであって、ご要望に応じてアイロンがけも行います。
     
     
    現場が変わると、文化が変わる
    半年ほど経ったころ、現場のスタッフからも「こっちのやわらかなシーツのほうが好きです」って声が上がりました
    また私のこの寄った思想にのってくださったお客様方も、これでよかったではなく、これ「が」よかった。とおっしゃっていただいております。
     
    これは地方企業の小さな改革ではなく、文化の始まりになってくれたらいいなあと私は考えています。
     
    清潔=努力 ではなく、清潔=設計
    私は小学生のころからずっと野球をしてきていたり、新卒で入った野村證券のイメージが強いので脳筋扱いをされます(間違いでは無いのですが)
    ですが、環境衛生や清潔というのは、努力や根性でつくるものではないと思っています。
    人や環境が負担を強いられなくても、清潔であり続ける仕組み。
    それが私達の会社でできる、ちいさな「持続可能」なだと思うのです。
     
    たぶん、“アイロン不要論”なんて言うと、まだまだ笑う人もいるでしょう。
    8期クリーニング業を行っていますが、未だに変わり者扱いを受けています。
    しかし私は、この小さな一歩が未来の標準になると信じています。
    見た目の白さを競う時代から、空気のやさしさで選ばれる時代へ。
    それを採用する宿泊施設が増えたら、きっとお客様をはじめ、その裏側で働く人も、少しだけ幸せになる気がします。
    今日も、アイロンなしで。でも、ピシッと。

    あなたの大切な日常を 新しい時間の価値に


    代表:小林(怠け者ではない)

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